法人(会社)や個人事業の資産について
自己破産手続きでは、裁判所から破産手続開始決定が出された時点(裁判所に申立書などを提出してから約1週間から2週間後)でを基準として、破産財団に組み入れられる資産が決定するとされています。
また、自己破産の準備に入った時点(弁護士に依頼するなどした時点)や支払不能に陥った時点(継続的な返済ができなくなった時点)を基準として、以後に流出した資産の組み戻しがなされる場合もあります。
決算書や帳簿、通帳などの客観的資料や、代表者や経理担当者からの申告をもとにして確定していくことが一般的です。
以下、法人(会社)や個人事業主が自己破産する場合、どのようなものが資産とされるのか説明します。
破産財団に組み入れられる資産とは
※ 個人事業主の方の場合は、後述のとおり自由財産として残すことができる資産があります。また、法人・個人事業ともに、自己破産の費用など有用の資として使用が認められる場合があります。
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現金
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預貯金
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不動産
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自動車(ローンが残っている場合やリースの場合は原則引き揚げられます)
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未回収の売掛金(自己破産を依頼した弁護士や破産管財人が回収します)
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株式、国債、社債などの有価証券
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保険の解約返戻金
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テナントの保証金
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機械や什器備品(デスクや書棚、パソコンなども含む)
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商品や材料、資材の在庫
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取引先や従業員、親族、友人、知人への貸付債権(自己破産を依頼した弁護士や破産管財人が回収します)
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税金の還付金
これらの資産は、原則として、破産手続開始決定が出された時点を基準として破産財団に組み入れられますが、弁護士に自己破産を依頼した後や完全に返済をストップした後に、これらの資産を費消したり、譲渡など不当に安い価格で売却したりすると、代表者による組み戻しや代償、譲渡や売却先からの取り戻しが入る場合があります。
一般的に、自己破産手続きを依頼された弁護士には、破産財団を形成し得る資産に対して(価値の)保全義務を負うとされていますので、多くの場合、自己破産手続き依頼後は、その弁護士に管理や処分を委ねることになり、代表者の方自身の判断での費消や処分などを控えてもらうことになります。
自由財産
個人事業主の方の場合、自由財産として、生活に必要とされる以下のような財産は残すことができます。
- 破産手続開始決定後に取得した財産(新得財産)
- 差押禁止財産(生活必需品、 業務に欠くことができない器具その他の物など)
- 99万円以下の現金
- 裁判所(自由財産の拡張)によって認められた上記以外の自由財産
- 破産財団から放棄された財産(換価できない財産等)
上記のような法律上の自由財産以外で、各裁判所の基準によって自由財産とされるものもあります。
(以下、東京地方裁判所の基準)
- 合計で20万円以下となる預貯金
- 合計で20万円以下となる保険解約返戻金
- 処分価格が20万円以下の自動車
- 住居の敷金
上記のように、個人事業主の方は、差押禁止財産の中に「業務に欠くことができない器具その他のもの」があり、自己破産をしても新たに同種の事業をおこなうことができます。