法人(会社)や個人事業主の自己破産にともなうデメリット
自己破産手続は、負債の返済を免責されるという大きなメリットがある反面、多くのデメリットもあります。
以下のデメリットを確認していただき、自己破産手続きに入るまでに、デメリットをできるだけ軽減できるよう、現金や資産の使い方、受注の目処、営業の継続時期などの決定の参考にしてください。
特に、自己破産の手続費用や営業停止後の生活費をどのように確保するかについては>>「資産について」もあわせて確認いただき、よくご検討ください。
1.営業の停止
弁護士に自己破産手続きを依頼したタイミングや、自己破産手続きが開始された時点で、資産の保全や債権債務関係の確定などのため、営業を停止します。
個人事業主の方の場合は、新たな事業としてこれまでと同じ事業を継続することが可能ですが、破産手続開始時点でいったんそれまでの事業を停止しなければなりません。(仕掛かりの仕事があってもそのまま継続することができません。)また、事業に不可欠とはいえない資産を破産財団に組み入れたり、同一の場所で事務所を使用する場合もいったんテナント契約を解除するなど、既存の事業と新規事業をしっかりと区切りをつけなければなりません。
2.資産の保全・使用制限
資産は破産財団として保全義務が課され、原則として、使用や処分(廃棄や売却など)は原則としてできなくなります。
なお、個人事業主の方の場合は、自由財産として一定の資産の保有や使用が認められています。
詳細は>>「資産について」を確認してください。
3.返済や支払いの停止
銀行などの金融機関への返済はもちろんですが、親族、友人などへの返済もすべて禁止されます。
また、役員、従業員の方々や下請業者、取引先への支払い(給与や報酬を含む)も禁止されます。
4.連帯保証人への請求
銀行などの金融機関からの借入や自動車や機械のリースなどに連帯保証人が付されている場合は、連帯保証人に請求が向かいます。
また、そん連帯保証人が返済した場合は、債権者として自己破産手続きに参加することになります。
法人代表者の連帯保証については>>「法人代表者」を確認してください。
5.ブラックリスト(信用情報機関など)への登録
個人事業主の方は、金融機関やクレジットカード会社が貸し出しやカードを発行更新する際に参照する信用情報に事故情報として記録され、7年から10年間(金融機関による)新たな借入れやクレジットカードの取得ができなくなります。
法人(会社)の代表者の方は、自身が自己破産しなくても、自己破産する法人に対して貸し付けた金融機関やリース会社独自の審査に通らず、別法人であっても自身が代表者になっている場合は、別法人での借入れが難しくなります。
6.資格行使の制限
警備員や保険外交員、宅地建物取引士など一定の資格を利用した職務に就けません(同じ職種でも資格を必要としない業務に就くことは可)。
7.選択できる賃貸物件の減少可能性
賃貸物件への入居に際し、家賃をクレジットカード払いや信販会社の立替払いを指定された場合、前記のように審査に通らず、入居できない可能性が生じます。
8.官報への掲載
利害関係人への周知のため、国が発行する官報(新聞のようなもの)に名称や氏名、住所が掲載されます。