飲食業の自己破産

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自己破産・倒産専門ガイド

飲食業の自己破産に関する注意点

 飲食業の自己破産も、基本的なながれや決まりは他の事業と同じですが、飲食業特有の注意点などをまとめましたので参考にしてください。
 
関連ページ >>自己破産のながれ
 

1.テナントの明渡しと原状回復

 飲食業の場合、テナントを借りて営業していることがほとんどですが、自己破産に伴って、テナントの明渡しを迫られます。最初に内装を施すこともありますが、借りるときは居抜きで、明渡すときはいわゆるスケルトン返しになっている契約も多くあります。
 明渡し自体は、必ずしも自己破産を依頼する前に完了する必要はなく、テナントのオーナー対応や様々な判断をそのまま弁護士に任せることもできます。
 依頼された弁護士は、テナントのオーナーに通知を送ります。また、原状回復の費用や明け渡しが完了するまでの賃料と、戻ってくる保証金の金額とを比較して、申立前にどこまで明渡しをするか検討します。戻ってくる金額があれば、明渡しをおこなった後、自己破産申立てをおこないます。マイナスになるようであれば、オーナーには債権者(マイナス分はオーナー負担となるので)として自己破産手続きの中で対応してもらうことになります。
 なお、明渡しに伴って戻ってくる金額は、自己破産の費用に充当できるので、負担が軽減される場合もあります。
 

2.大型什器の処分や搬出

 明渡しには、冷蔵庫などの厨房機器、ショーケースなどの大型什器の撤去も必要です。前記のとおり弁護士に依頼することも可能です。
 リースの場合はリース会社が引き揚げることが多いですが、古いものについては引き揚げを拒否するケースもあります。
 自己所有の場合は、適正価格で売却できるかを検討します。適正価格かどうかが重要なポイントで、不当に廉価で売却してしまうと破産管財人からペナルティを課せられる可能性もあるので、売却前に買取業者2社以上の見積もりなどで適正な価格である裏付けを取っておきます。
 また、大型什器の場合は、搬出のために内装や出入口を壊さないといけない場合もあります。このような場合には、テナントの原状回復と一緒に什器の売却を進めた方がより多くの資金を確保できるケースもあります。
 これらの段取りもすべて自己破産を依頼した弁護士に任せることが可能です。
 

3.食品の材料や在庫の価値と換価

 食品の材料や在庫は、賞味期限があり、換価価値の評価も非常に悩ましい資産です。
 未払いの仕入代金がある場合は、仕入先が先取特権を主張して引き揚げる(未払代金の額は減ります。)こともありますが、手元に残っている場合は賞味期限に売り切ることができる価格まで値下げすることも検討します。
 ただ、後々、値下げが適正だったかどうかが問題とされるケースもあり、廃棄したものや売れ行きと価格などを日々帳簿などに記しておくのもよいでしょう。
 

4.従業員の未払給与

 
 >>関係者への対応を参照ください。
 
 

5.キャッシュレス決済の売上金

 キャッシュレス決済での売上は入金までのタイムラグがあるので、自己破産手続きを弁護士に依頼した段階では、入金が完了していない売上が生じる場合があります。
 このような場合でも、未入金の売上は自己破産手続きを依頼した弁護士が回収し、自己破産の費用に充当するので、入金を待たずに先行して自己破産手続きを進めても無駄にはなりません。(ただし、自由に使うことはできなくなります。)
 

6.現金のながれ

 通常きは、日々のレジ締めや現金出納帳などで現金のながれをしっかりと把握していた場合でも、資金が不足している状態では現金の記録がなくなることが多々あります。それどころではないといったところですが、大きな現金を動かす場合は、破産管財人に何に使ったかを説明できるように必ず資料(伝票や契約書、振込明細など)を保管しておくようにしてください。